「明太釜玉うどんの並ひとつ」
私がそういうとお兄さんは「生たまご?温泉たまご?」ときいてきた。私は「おんたまで」と答えた。お兄さんは「おんたまで」と私の言葉を繰り返した。
ただそれだけのことだったのだけど、そのときのお兄さんの笑顔が素敵で、ほんとうにとても素敵で、今思えばその瞬間に明太釜玉うどんの並(温泉たまご)がおいしいことは確定したんだと思う。
ハイになっていた私は食べきれないだろうなとうすうす感じながらも、まぁその時は苦しくなる前に残せばいいやと軽い気持ちで、いつもは食べないイカ天もトレーに載せた。
ときどき今日のように無性に丸亀製麺の明太釜玉うどんの並(温泉たまご)が食べたくなることがある。例えば3年お世話になった現場で最後の夜勤を終え、開放感とけだるさと感謝と少しの寂しさでハイになっているときなど。そんなときはムリしてイカ天も頼み、空いている店内で1人の時間を楽しむのだ。
11:40。例によって私は丸亀製麺のカウンターテーブルに座り、霧吹きで吹いたように降る雨のことについて考えながら、大橋トリオのcherry pieをききながら、スペシャルにおいしい明太釜玉うどんの並(温泉たまご)とイカ天を口に運ぶ。