チューリップ(仮)

ガラにもなくこんなことをはじめてる

ファジー

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この前新しい言葉を知った。その名も「ファジー」。ファジー家電やらファジー機能やら、そんな言葉が昔少しだけ流行ったらしい。

fuzzyの意味 - 英和辞典 Weblio辞書

損な言葉だと思った。だってファとかジーとか、なんか響きがフワッとしていて全然ピンとこない。全然キャッチーじゃない。何かが足りない。最近私は「エキセントリック」という言葉がすきだけど、改めて「ファジー」との響きを比べたときに、なるほどなと何かに納得しそうになるくらい「ファジー」には積極性がないというか、記憶に残りたいという強い意志が感じられない。

でもそれは「ファジー」が悪いわけじゃない。「ファジー」はただ目立たないというだけで、本当はものすごくよくできる子だ。だからこそ損な言葉だと思ったのだ。例えばファジー家電にはファジースタートボタンというファジーなボタンがついていたらしい。ファジースタートだから、押すとなんかきっといい感じにスタートしてくれるボタンなのだろう。これがエキセントリックボタンだったらそうはいかない。そもそもスタートしてくれるかどうかすら怪しい。頼むからちゃんとスタートしてくれよと、毎回そんなことを願いながら炊飯器のボタンを押さなければいけないなんて考えるだけでもうんざりしてしまう。「ファジー」にも「ファジー」にしか表現できない意味があるのだ。

では「ファジー」の良さを活かしつつキャッチーに使いたいときはどうすればいいか。ずばり意識して破裂音や破擦音を添えればいいのだ。それだけだ。ピンとこない言葉はだいたいの場合、破裂音や破擦音が足りていないのだ。これは「ファジー」に限った話ではない。だからそんな時は「パンツ」とか「マジック」とか、そんな言葉と組み合わせるに限る。そういう意味でいえば「ファジースタートボタン」というのはなかなか相性のいい単語が組み合わされていると言ってもいいだろう。長音を交えつつ緩やかにしかし確実に後半の力強い破裂音の羅列に繋げ、最後は上品にまとまりよく撥音でしめくくられている。まるで弘法がかいた「永」の字のようだ。いや、違うな。なにを言っているんだ私は。