読書
この前少しだけ檸檬のことを書いた。 そのとき私はなんのためらいもなく「私」のことを彼と呼んだが、もう一度確かめてみて、それはやっぱり間違いではないと思った。 梶井基次郎 檸檬 そもそも私には、女が友達の家を転々としながらその日暮らしをしたり、…
これは文明だ。文明の利器だ。あつあつにチンしても熱くならないのだ。 あまりに熱くならないもんだから、はじめはチンが足りないか電子レンジが壊れたのかと思った。それくらい温まらなかった。まさか容器に仕掛けがあるとはつゆほどにも思わず、示されてい…
同居人が隣ですやすや寝息をたてている。頬の産毛が月明かりにうっすら浮かんでみえる。手を触れると嫌がるので、こういうときはいつもただそっと眺めている。 私は彼の骨格、特に額から鼻、頬にかけての骨の感じがすきだ。顔に触れたときの皮膚の柔らかさと…
昔からそうだった。教科書を読むより先生の説明をきく、ノートを読み返すときは音読する、問題を解くときは考えていることも全部声に出すなど、私は耳で学ぶのが一番効率がよかった。 ちょうど一年前、ある本をきっかけに、これがちゃんと根拠に基づいている…
よく晴れた悲しい夜はいつもよだかを探してしまう。よだかはあのときどんな気持ちだったのだろう。寒くて血を流して上も下もわからなくなって、まがってしまったくちばしでわらったとき、何を考えていたのだろう。 宮沢賢治 よだかの星 よだかはみんなにいや…
宮沢賢治の文章がよすぎる。いちいちすき。いちばんすき。もしジーニーがいるなら宮沢賢治に会わせてってお願いするくらいすき。 世の中の人はもっと宮沢賢治を読んで評価してほしい。「銀河鉄道の夜」とか「雨ニモマケズ」だけじゃなくて「おきなぐさ」とか…
私は学生の頃、良い方にも悪い方にも特別に目立つような子ではなかった。寝坊による遅刻はよくしたがダルイからみたいな理由でサボることは一度もなかったし、親や教師に手に負えない反抗心を抱いたこともないし、まぁ一度だけ日本史で赤点をとったことはあ…